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2019年11月14日 (木曜日)

DVDでもいいじゃないか 映画鑑賞記 特別編 閉鎖病棟 それぞれの朝(11月14日)

DVDでもいいじゃないか、映画鑑賞記。

今回は特別編「閉鎖病棟 それぞれの朝」(2019年 日本)です(この後あらすじや内容に触れます。ご注意ください。感想には個人差があります)。

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「閉鎖病棟」…なんと人を拒絶するタイトルであることか…そう思いましたが、予告編を見て気になっていましたので、映画館で鑑賞しました。

物語は一人の死刑囚の刑執行場面から始まります…無事刑は執行されるのですが、刑を執行された死刑囚は死なず、その対応に当局は苦慮することになります。そして下された結論は「ほかの施設に移送する」というものでした。

その後どれほどの時が経ったのか、場面は、とある場所の精神病院に移ります。
そこには、様々な症状の人々が入所しています。
その人々の面倒を見るスタッフの一人・井波(小林聡美)がスタッフルームを訪れ、一日が始まります。
そこには、幻聴が聞こえることが原因で会社員を辞めて入所した塚本中弥(綾野剛)や脊髄損傷で車椅子に乗って移動している梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)、カメラで写真を撮ることが大好きな昭八(坂東龍太)などが入所しています。
そんなある日、母親に連れられて島崎由紀(小松奈菜)がやって来ます…どうやら彼女には何やら事情がありそうです…病院にやって来た彼女は、当日に自殺未遂を起こします。そして「妊娠」していたのですが流産します。
しばらくして、由紀は義父によって退院させられるのですが、母親から義父から受けている「DV」や「性的なこと」を理由に拒否され、義父の元からも逃れて、再び病院へ戻ってきます。
そんなこともあって、なかなか心を開かない由紀…そんな由紀も中弥や秀丸との出会いで、心を徐々に開きます。その過程で、秀丸の人柄に触れた由紀、秀丸に「腕抜き」をプレゼントします。

由紀は不思議に思います…秀丸はどうしてここにいるのか…ある所内の行事で、薬物中毒で入所しており、行動が粗暴で、皆から嫌われている重宗(渋川清彦)の発した一言で由紀は知ります…その理由は「妻と母親を殺し、死刑執行で死ななかった」ためであると言うことを。

ある日、中弥が秀丸を誘い、由紀と昭八で外出します。そこで秀丸は、先日の「腕抜き」のお礼に「シュシュ」をプレゼントし、訪れた公園のベンチで、昭八のカメラで4人の記念写真を撮影します。
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人が病院へ帰って来ると、井内と医師の大谷(高橋和也)が遺骨を持ち帰ります。その遺骨は入院患者の石田サナエ(木野花)のものでした。彼女は、海岸に近い公園でなくなっているのを発見されたのでした。
亡くなっても行く先もなく、病院へ帰ってきた遺骨を見て、入所者たちは「自分たちには帰るところのない」…そのことを認識します。
亡くなった石田のために、秀丸は自分が作った花瓶を工房から取ってくるように由紀に頼みます。工房に入った由紀…花瓶を選ぼうとしますが、そこにやって来た薬物中毒で入院中の重宗から「乱暴」を受けます。
翌朝…由紀は病院から姿を消します。
そのことを不審に思っていた中弥…その乱暴を目撃した昭八からカメラで撮影した乱暴の模様を中弥に見せます。どうしてよいかわからなくなった中弥はその模様を秀丸に見せます。秀丸は「このことは他言してはならない」「データを消去すること」を中弥に告げます。
中庭で壁にボールをぶつけている重宗を見つけた秀丸…自らに向かってきた重宗を持っていたナイフで刺し、絶命させます。
重宗を殺害したことで、逮捕された秀丸…連行されていく姿を、中弥や多くの入所者が、その姿を見送ります。

妹夫婦が中弥を訪ねてきます。母親がぼけてしまって手がつけられない、家と土地を売って母親を施設に入所させたいと言います。そのことを聞いた中弥は、自ら退院し、母親と暮らすと妹夫婦に語ります。
退院を決めたことに不安を吐露する中弥に、井内は「いつでも戻っておいで」とやさしく見送りだしてくれました。
そして、秀丸の弁護担当の弁護士の連絡先を教えてくれます。
弁護士事務所を訪ねた中弥…弁護士から秀丸のことを聞きますが、何も言うことができず、去ります。

しばらくして社会復帰した中弥は、園芸会社で働いていました。ある日、新聞で秀丸の裁判が始まったとこを知り、裁判所を訪れます。そこで中弥は、同じ入所者だったムラカミ(綾田俊樹)、キモ姉(平岩紙)、井内らとで会います。
裁判前…待合所で中弥は由紀と出会います。由紀の髪は、すっかりのびで、あの日から年月を感じさせます。そしてその髪には、あの「シュシュ」がありました。由紀は、弁護側の証人として出廷するためにやって来たのでした。
裁判で由紀は、現在の自分が「看護師見習い」であることや秀丸が犯行に至った経緯を証言します。そして「本来ならば自分が宗重を殺して、(秀丸のいる)被告席にいるはずだった」と語り、「出所が叶うのならば、それまで待つ」と語るのでした。
裁判終了後、中弥は秀丸に「自分が退院したこと」を告げ「いつまでも待っている」と告げます。

収監されている秀丸…運動場で自ら車椅子から立ち上がろうとします…果たして一歩が踏み出せるのか…。

と、言うのが大まかなあらすじです。
レビューでも様々な意見があり、表現や人物、状況の設定など、突っ込みどころも多い(病棟内のドアへの厳重な鍵かけに比べて、由紀が自殺未遂を起こす屋上への出入りがあまりにも簡単すぎる点や、乱暴を受けた後にいなくなった由紀に対する病院の対応(患者一人が行方不明になったのに捜索した気配がない)、あれだけ問題を起こす宗重を監視のない状況で自由に行動させている点、由紀は看護師見習いをやっていると言うが、いったいどうやって、あの状況から見習いになったのかなど)映画ですが、そのことを別にしても、様々なことを考えさせる映画です。
精神病院の抱える問題や、我々が持つ精神病院や入所者に持っている偏見など、見ていて胸が苦しくなります。
自分はそうは思っていない、そのようには接しないだろうとは多いながらも、「病院は厄介払いができるが家族はそうはいかない」「せっかくやっかい払いできたのに」など、心のどこかに住まう「邪悪な」イヤな面が、登場人物の口から、火山の溶岩のように吹き出てきて、なんともいえません。
本当に治療が必要なのは、由紀に暴力を振るう義父や、中弥を「厄介者」として扱う妹夫婦なのかも…と思うシーンもありました。それを踏まえるならば、もしかしたら「閉鎖」されているのは、「病棟」ではなくて、相手を理解することなく拒絶する「周囲の人々の心」、なのかもしれないと、感じました。

全体を通じて重苦しい雰囲気の映画ですが、中弥、由紀、秀丸の3人が前向きな気持ちで日々を過ごしていこうとする姿に感じる「それぞれの朝」…具体的に「朝」ではないけれど、「何かあたらしことに向かっていこうとする行動」を感じることで、ちょっと気持ちが前向きになる映画です。
残念な点があるとすれば、物語の中の具体的な時間の流れがわかりにくかったこと(時間の流れは、中弥の退院後の就職先での頑張りに対する評価や、由紀の髪の毛がショートカットからロングになっているところなどで、表現されてはいますが)でしょうか…
100
点満点で80点です。

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