読書の「ど」! ビルマの竪琴(竹山道雄 新潮文庫)(8月14日)
夏は戦争や平和について考えることも多い時期です。そして…夏休み課題として「読書感想文」にも悩まされる時期です。
そこで今回は、その両方をいっぺんに片付けられる本を紹介します。
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いいと思ったら、新書でも、文庫でも、マンガでも、ジャンルは問わず読む「かねとしの 読書の「ど」!」、今回は「ビルマの竪琴」(竹山道雄 新潮文庫)です(感想には個人差がります)。
「ビルマの竪琴」…多くの方々が、小・中学生のころに接したことある1冊かもしれません。
何よりも「水島 一緒に日本へ家帰ろう」という一文で有名かもしれません。
もともとは、ドイツ文学者の竹山道雄氏が童話雑誌「赤とんぼ」に、児童向けの物語として書いた作品です。
太平洋戦争で敗戦を経験した日本。海外に展開していた日本軍の兵隊が次々と内地へ帰ってきます。その中にビルマからの帰還兵で構成された部隊がありました。
その部隊は、他の部隊に比べて元気でした…なぜかと問うと、現地でも歌を歌っていたからだといいます。
その部隊の一人から、現地にとどまった「ある日本兵の話」を聞いた人物が記したという体裁の物語となっています。
終戦近いビルマの山中をさまよう部隊があったのですが、その部隊の隊長は音楽学校出身の人物で、事あるごとに、この部隊では「歌う」ことをしていました。そして、部隊の中の一人、水島という兵隊は、自らが見様見真似で作った「ビルマの竪琴」を用いて、演奏を行うようになります。
ある日、舞台は敵に囲まれて進退窮まります…ですがその時にも部隊は「歌」によって救われます…「埴生の宿」「蛍の光」など、自分たちは日本の歌だと思っていたものが、実はイギリスにそのもととなる曲があり、それを歌うことで、無事に降伏することができ、舞台は事なきを得ます。
その後、イギリス兵から降伏を拒み、対抗している日本軍部隊がることを隊長は聞きます。そしてその部隊の説得のために、水島を派遣することとします。
降伏を勧めに行った水島…その後消息不明となります。
一方、無事の降伏した舞台では、水島はどうなってしまったのか…ということが話題になります。
そしてある日、水島によく似たビルマの僧侶と出会うのですが…。
水島はどうなってしまったのか、そして無事に帰国できるのか…この先は、是非本書をお読みください。
この辺で感想を。
本書が書かれた当時は、戦争の影響も色濃く残っており、海外からの帰還兵も続々と帰国している時期であり、一方で音信不通の兵隊については「戦死」の報が次々ともたらされ、国内では「間違った戦争をしてしまって負けたのだ」という否定的な雰囲気が満ちていて、とてもではないが、戦争自体は間違いであったとしても、自らの使命を真面目に守って亡くなっていった兵隊について「追悼」「慰霊」という気持ちを表せるものではなかったそうです。
個人的にも「戦争をしてしまったこと」と「その戦争で亡くなった人々への慰霊の気持ち」は別のものとして扱わなければならないと思います。
物語自体は「フィクション」であり、その中で扱われる「水島」の行為や発言は「作り物」であり「ご都合主義」という面があり、それは現実からすれば「きれいごと」「ファンタジー」かもしれませんが、本書を戦争について、あるいは「自らが生きることの意味」のようなものを考えるのに参考にするのにはいいかもしれません。
真夏の暑い一日に、ちょっと難しい問題ですが、考えてみるのもいいかもしれません。
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