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2018年8月10日 (金曜日)

読書の「ど」! 南の島に雪が降る(加藤大介 ちくま文庫)(8月10日)

8月は戦争と平和について考える時期でもあります。
そこで今回は、以前紹介した、本の中から、戦争について考えるのに参考となる本を紹介します。

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いいと思ったら、新書でも、文庫でも、マンガでも、ジャンルは問わず読む「かねとしの 読書の「ど」!」、今回は「南の島に雪が降る」(加東大介 ちくま文庫)です(感想には個人差があります)。

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著者は、黒沢明監督の「七人の侍」などに出演した俳優で、姉に女優の沢村貞子がいるという方です。

昭和1810月、大坂の舞台に出演していた加東大介氏に招集がかかります。加東氏にとっては2度目の招集で、今回はニューギニア戦線への出征のようです。

昭和8年に陸軍病院で現役を済ましていたために、2度目の出征の時は伍長勤務上等兵、のちの兵長で、当時は衛生伍長として派遣されることになります。

派遣される舞台には、氏をはじめ、芸能関係者が幾人かおり、氏はそれらの人物を選抜して部隊内に「演芸部隊」を作ることとなります。

当初は派遣された兵隊のために「士気を鼓舞」するためのものとしてつくられたものでしたが、連合国軍がニューギニアを飛ばして、フィリピン攻略に動いていた当時には、現地では、いつ終わるともしれない「百年戦争」の感を呈し、「生きて死なない」ことがその目的となってきたころには、兵士たちの「生きる糧」のために演じるものとしての存在となります。

そんな終戦も近いある日、舞台上で演じられた演目で、紙で作られた雪が降る演目があったのですが、それを見た東北出身者が多くいた部隊では、その舞台に感動した兵士が、明日をもしれぬ兵士を連れてやってきて、その「紙でできた雪」を触らせながら、その死を見送るなどということも起こります。

そして迎えた終戦…さまざまなことがありながらも、氏は帰国し、のちに当時のことをまとめたのが本書です。


本書には激しい戦闘シーンや、兵隊が交戦の末に派手に死んでいくシーンは、ほとんど描写がありません。
ですがその中に出てくる兵士たちの死については描写が克明で、ほとんどが現地の風土病などでの「病死」、食糧不足による「餓死」です。今では到底思いもつかないような死因です。

文章が平易で分かりやすく、読みやすいためか、戦争特有の悲壮感はあまり感じません。ですがそれが逆に、解説に保坂正康氏も書かれていますが「戦争という非日常の日常」を描いたものとして、悲壮感を一層際立たせるものになっています。

声高に反戦を語ることも必要かと思いますが、本書のように、地道に、現場で感じたことをそのままに描写したものを大いに必要だと感じた一冊でした。

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