読書の「ど」! ストロベリーライフ(藤原浩 毎日新聞出版)(7月19日)
いいと思ったら、新書でも、文庫でも、マンガでも、ジャンルは問わず読む「かねとしの 読書の「ど」!」、今回は「ストリベリーライフ」(荻原浩 毎日新聞出版)です(感想には個人差があります)
東京でグラフィックデザイナーをしている恵介…その恵介のもとに恵介の静岡の実家から電話がかかってくるところから物語は始まります。
電話の内容は「親父が倒れた」というものでした。
取り急ぎ帰郷した恵介…ベッドに寝かされている父親の姿に衝撃を受けます。
ですが、恵介にはもっと気になることがありました…それは父親と母親が営んでいる「いちごづくり」のことでした。以前はトマトづくりをしていたはずのハウスには、いつのまにか「いちご」が栽培され、母親は、そのイチゴの収穫に追われています。
最初のうちは、いやいやでイチゴ栽培を手伝いだした恵介でしたが、栽培に関わるうちに気持ちが変わってきて、何とかイチゴ栽培を成功させて、農業を続けていきたいと、イチゴ栽培にのめりこんでいきます。
一方で、東京で暮らす恵介の妻・美月は、農業を継ぐことに反対です。しかも、二人の間には、秋風が吹きだしてきたようで…。
イチゴ栽培はどうなるのか…恵介と美月の関係はどうなるのか…この先は、是非本書をお読みになって確認してください。
ところで本作は、2017年夏の「青少年読書感想文コンクール」の課題図書で、「高等学校の部」に選ばれています。
日本の農業の現実は、本書の様にはうまくいかないことが山積みで、読後には、爽やかな「農業成功物語」としての一面を感じさせ、「明るい」未来を予感させるのですが、逆を返せば、このようでなければうまくいかないのだよと、フィクションであっても、冷たく描いているという側面があると感じます…などと面倒くさいことを言いましたが、読後には「この先の成功を祈らないではいられない」という、気持ちがあふれてきます。
« 気のみ記のまま雑記帳(7月19日) | トップページ | 愛馬会 30年7月度収支です(7月20日) »
コメント