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2017年10月 3日 (火曜日)

読書の「ど」! 悟浄出立(万城目 学 新潮文庫)(10月3日)

いいと思ったら、新書でも、文庫でも、マンガでも、ジャンルは問わず読む「かねとしの 読書の「ど」!」、今回は「悟浄出立」(万城目学し 新潮文庫)です(感想には個人差があります)。

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ハードカバーで出版された時から読みたかった一冊ですが、今回、文庫版が出るに当たり購入しました。

個人的にはこの1年間で読んだ中で、一番のお気に入りです。そして、万城目学氏の作品では、奈良で暮らしたこともあって「鹿男 あおによし」も好きですが、それを考慮しても、一番の出来で、一番好きな作品です。

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「西遊記」の登場人物といえば、天竺にありがたいお経を取りに行く三蔵法師(昔のテレビドラマの夏目雅子さん、凛々しくて、子供心に見ていて憧れでした)、石から生まれた猿の孫悟空(テレビドラマの堺雅章さんもよかったのですが、後年「ドラゴンボール」になってからは、原作を超えるスケールとなりました…個人的にはあまり好きではないので「?」ですが)、そして元は天上界一の将軍だったのにある出来事がきっかけで豚の姿を借りて人間界に落とされた猪八戒(大人の事情で、演じる俳優が変わったのは、子供心にショックでした)、そして一番地味といっては失礼ですが沙悟浄(岸部シローさん演じる河童のような姿の沙悟浄は、ある意味一番印象的でした)の登場する物語です。

今作の「悟浄出立」では、旅を続ける中で、悟浄が猪八戒に対して持っている「ある疑問」をぶつける物語です。

物語を読み終えてみると、子供のころから今一つ「キャラが立たない」存在の悟浄の心の内を描いた物語として、非常に面白く読むことができました。

この物語の「下敷き」ともなったのは、中島敦が描いたものなのだそうです。

私も中島敦の作品は、この後の「父司馬遷」の中でも扱われる将軍・李陵が出てくる「李陵」、自らの欲望がもとで虎になってしまう「山月記」、その他にも「弟子」「名人伝」など読んだことがありますが、いずれも好きな物語です。

またこのほかにも、「三国志」に描かれる劉備・関羽・張飛・諸葛孔明などと並んで英雄とされるのに今一つパッとしない「趙雲」の目を通しての物語である「趙雲西航」、「史記」に描かれる悲運の英雄・項羽と生活を共にしたとされる絶世の美人・虞の立場から描いた「逆・史記」ともいえる物語(虞姫静寂)、中国を統一しようとしていた秦の時代に起こった秦の始皇帝暗殺事件に材を取った物語である「法家孤憤」、そして漢王朝の役人で、匈奴(北部遊牧民)から漢を守るために出撃したがその後「裏切ったのでは?」と疑惑をかけられた将軍・李陵を擁護したために罪に問われた司馬遷、その娘・栄を通して司馬遷の「その後」を描いた「父司馬遷」からなります。


巻末にもありますが、中国では司馬遷の影響もあり、王朝が変わるたびに詳しい(歴史書)が編纂され、いわゆる「歴史ミステリー」というものは少ないのだそうです。
ですが、だからこそ、万城目学氏は、その「歴史書」に書かれていない部分を想像力たくましく「補足」し「新たな物語」をして描いています。

万城目氏の創作と知りながらも、あたかも連綿と伝えらてきた「歴史書」を読むような、そんな満足な時間を過ごすことができました。
特に好きなのは「虞姫静寂」です。「史記」にはほとんど描写のない「虞」に焦点を当てた物語は、新鮮でした。

合わせて「史記」も読み返そうかと…横山光輝版ですが…思います。

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