読書の「ど」! 福家警部補の再訪(大倉崇裕 創元推理文庫)(6月20日)
いいと思ったら、新書でも、文庫でも、マンガでも、ジャンルは問わず読む「かねとしの 読書の「ど」!」、今回は「福家警部補の再訪」(大倉崇裕 創元推理文庫)です(感想には個人差があります)。
壇れいさん主演でドラマ化されたのでご存知の方も多いかと思います。
本作はいわゆる「倒叙もの」と言われるジャンルのミステリーです。
物語の冒頭でいきなり事件(殺人事件)が起こり、その事件が明るみにあったところに福家警部補がやってきます…その容貌は警部補というよりも、同じ警察ならば交通課の担当や、経理などの部署を担当しているような立ち振る舞いです。
ですが、ひとたび事件にかかわると、素晴らしい感覚で犯人を追いつめていきます。
犯人は、それなりに地位や名誉がある人物であるのですが…探偵事務所から警備保障会社を興した人物であったり、著名な脚本家であったり、一世を風靡したことがあるお笑いコンビの相方であったり、精巧なフィギュアを造ることでその地位を築いた会社の社長であったりと、 それぞれそれなりに地位も名誉も名声もある人物です。
その人物が自らを守るため起こした犯罪…殺人…から逃れるべく悪あがきをします。
その悪あがきを福家警部補は見逃しません。
物語の大部分は、犯人の側と福家警部とのやり取りになるのですが、読後に感じる「事件解決に至る展開のすがすがしさ」の原因は、「福家警部は犯人に合った瞬間に、この人物が犯人だ!とわかっているのではないか」と思うような物語の伏線を巧みに使った解決に導かれる物語であるというところにあるのかもしれません。
どの物語もしっかりしたつくりになっていて、破たんもなく、十分楽しめました。
聞けば大倉氏は大の「刑事コロンボ」ファンだそうで、刑事コロンボシリーズの翻訳や、刑事路コンボにちなんだ著作もあるそうです。続巻も出ているそうです。楽しみですね。
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