読み比べ「地団駄は島根で踏め」(7月10日)
読み比べ。今日は「地団駄は島根で踏め 行って・見て・触れる《語源の旅》」(わぐりただし・著 光文社新書)です。
この本、日常で使われる「急がば回れ」「ごたごた」「あとの祭り」「地団駄を踏む」「うだつが上がらない」など、その言葉の「語源」をたどり、その言葉の「生まれた」現地に行ってその語源を探ると言うものです。
たとえば「急がば回れ」の語源になったのは、東海道五十三次で知られる歌川広重の「草津」という浮世絵の中にある一本の道しるべで、その道しるべとは「矢橋の渡し」のことですが、なぜこれが「急がば回れ」の語源になっているのか?というと、当時京の都を目前に琵琶湖を渡る時に、近道であるが天候の影響を受けて危険も伴う矢橋の渡しを使うよりは、遠回りになるが安全な瀬田川にかかる瀬田の唐橋を使うほうが結局は近道になると言うことを示してのことだったようです。そして、実際に著者は現地を訪れて、その模様を後追いで感じているのです。「語源ハンター」を名乗る著者が探る語源の旅も読み応えがあっていいのですが、もちろん紀行文としても面白いですよ。
あと、読んでいて一番面白かったのは「ごたごた」と言う言葉の語源が、鎌倉時代に中国から招かれた「兀庵(ごったん、 兀はπという記号に似た漢字です)」という僧侶に由来すし、兀庵が口うるさく理屈っぽい議論を吹っかけたりするところから「ごったん⇒ごたごた」に変化したと言うことや、、「関の山」と言う言葉が、三重県関市のお祭りに出る山車がどんなに頑張っても京の祇園祭の山車に比べて小さく、豪華さでも負けることから「どんなに頑張ってもせいぜいこれぐらいである」と言う意味になったのではなく、もしかしたら、山車の通り道にある狭い通路を通るために、どんなに豪華に作ってもその大きさを越えられないところからきているのではないかという、現地に行かなければわからないような語源の一説かもしれない話に接したりするのが、面白かったですね。
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